部会として活動へ

部会活動を充実させてより魅力ある稲門会とするために、さくら会で5年に亘り毎月開催してきた句会も部会の仲間入りをすることになりました。この俳句の会は、3句ずつ持ち寄って楽しんでいます。
俳句は紙と鉛筆があれば、何時でも何処でも四季折々の変化に親しみながら、頭のトレーニングにも役立ちますので、これから俳句を始めたい人の参加を大いに歓迎いたします。

連絡先
富塚兆彌(TEL/FAX 03-3410-9776)
tomizuka@st.catv.ne.jp

令和3年の活動

さくら句会(第176回)R3/8/18 通信句会

八月の句会は、十名により兼題の衣被一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)

六 ジャスミンの夜風入りくる厨窓   まもる

五 終戦忌語る人無き独居かな     利水

四 稜線の浮き立ち見ゆる星月夜    晃子

三 五歳には五歳の悩み衣被      雪子
三 衣被里は緑の傘の下        牧羊
三 憲法の本を取り出す敗戦日       兆弥

二 サーファーの去りて潮の香はまなすの香 勝
二 我もまた母の好みし衣被        晃子
二 頬張れば老ひ身たのもし衣被      勝
二 夕照りて葉鶏頭金色に勁し       勝
二 米寿翁西瓜抱へて訪ね来る       兆弥
二 この重さ告ぐ術なくて終戦日     恵那
二 老妻の手なほ艶やかや衣被      広
二 木の床をヒール踏む音夏館      広
二 親をこす六尺あまり竹の春      二丁目
二 湯気あがる祖母の指先きぬかつぎ   二丁目
二 三本の指が働くきぬかつぎ      まもる

一 サイコロの皮なき西瓜種飛ばず    利水
一 若冲の鶏(トリ)絵を抜ける暑さかな 雪子
一 秋暑しペディキュアの赤残る指    雪子
一 朝霧やキャンプの食器洗う音     牧羊

衣被エプロンの母偲びけり      利水
女子空手気合い鋭く眉涼し      まもる

子の新居訪ねてをりし鵯の啼く    恵那 
にんげんの継ぎ手キシキシ衣被    恵那
抽斗に古きお守り送り梅雨      広
衣被つるりと剝きて白きこと     兆弥
淋しげな花あまたある花野かな    晃子
この節はボーイソプラノ蝉時雨    二丁目
子に伝う水の恩人青田時       牧羊

さくら句会(第175回)R3/7/16 通信句会

七月の句会は、十名により兼題の「冷麦」または「冷素麺」一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)

七 新しき網戸を通る夜の風      晃子

四 ほうたるの止まりし袖を動かさず  兆弥
四 右左みても渡らぬ毛虫かな     恵那
四 十年の後家の習ひや冷素麺     二丁目 

三 蛍火や蒼き時間をつくりだす    恵那 
三 冷麦の五種の薬味の揃ひけり    晃子  
三 野球部に女子ひとりなり夏あざみ  雪子
三 夕空やともしび色に枇杷熟れて   まもる
三 野球帽鍔を後ろに冷素麺      牧羊

二 月下美人ひと夜華やぎ散り果てぬ  晃子 
二 迷へどもつまるところはひやそうめん まもる 
二 軽鳬(かる)の子や親を追ひかけ道よぎる  兆弥
二 紫陽花や表札の跡のこる門     雪子  
二 冷麦や昼には終はる庭手入     雪子

一 絵団扇や贔屓負けにし大相撲    広 
一 冷麦やアクリル板のある蕎麦屋   広
一 箸立てて冷素麺を捉えけり     利水
一 山峡(やまあい)にたぐる素絹の雨      勝 
一 弟の姉の背を超しダリアかな    勝 
一 白鷺は畦で待ちおり田草取り    牧羊 

冷麦や紫蘇生姜葱の備へあり    兆弥
校庭の跳んではしゃいで冷素麺   恵那
薄荷あめ口に含みて涼しかり    まもる
青山を土石削りて梅雨あがる    利水 
朝顔も江戸仕立てなり馬籠宿    利水
祭絶へ稽古囃子の聞こゆ路地    勝
雹降って殷賑極める裏街道     二丁目
奥入瀬の女滝背にした小半時    二丁目
夏の月道に若もの呑み騒ぐ     広 
素麺を流せ流せと餓鬼大将     牧羊 

さくら句会(第174会)R3/6/18 通信句会

五月の句会は、十名により兼題の『梅雨晴間』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)

五 父の日や八十路となりて花届く   利水

四 夕づつや愁い見えそむ沙羅の花   まもる
四 六月の大事といふは梅しごと    勝
四 豆苗の育つ窓辺や梅雨の月     雪子

三 いたはられ父の日少し寂しかり  まもる
三 したたりや山懐の石仏      二丁目
三 燕の子おなじ五つの口を開け   晃子 
三 バラ園の風はバラ色香り立つ   晃子
三 鮎菓子の幟はためく梅雨晴間   雪子

二 梅雨晴間部屋いっぱいに招き入れ 利水
二 老鶯のひと啼き樹々を揺るがせり 兆弥
二 梅雨晴間タオル干しあり美容室  まもる
二 連れ犬を褒めて行き交ふつゆ晴間   勝
二 真似事に畑打ちをり梅雨晴れ間    広

一 日盛や急坂登るアプト式       雪子
一 花街の女重篤業平忌         二丁目 
一 つれあひと犬小屋覗く梅雨晴間    二丁目
一 梅雨晴間大蛇怪鳥闊歩せり      恵那
一 コロナ禍や先の見えない梅雨曇り   恵那
一 虹の根に立ちし少女の不思議かな   勝
一 古池の化粧したるや花菖蒲      利水
一 秘仏なるお堂の裏の著莪の群れ    牧羊

巣ごもりのルールを守る大蛇かな  恵那
梅雨晴間ワクチン予約終りけり   晃子 
つつきあふ番の鴉梅雨晴れ間    広
江戸風鈴メール広告ばかり来る   広
水色の四片の小さき額の花     兆弥
軒下の野良猫五匹梅雨晴間     兆弥
洗車場流れるように梅雨晴間    牧羊
鰻屋に駆り立てられし闘争心    牧羊

          

さくら句会(第173回) R3/5/28 通信句会

五月の句会は、十名により兼題の『立夏』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)

六 藤棚や雨の雫も花となり      晃子

四 渓流の瀬音高まる立夏かな     利水
四 草笛はわれは海の子老紳士     牧羊
四 うす色のバックを買ひし立夏の日  晃子

三 石楠花や三州またぐ甲武信岳    雪子
三 種五つ迷ふ撒き場所けさの夏    勝
三 長引くやステイホームの冷奴    広

二 衣更へて妻の背に透く貼り薬    まもる
二 争ひは絶へることなく聖五月    兆弥
二 白富士に黒き裂け目の立夏かな   恵那
二 岩壁に白くひとすじ朝の滝     晃子
二 踏切の矢印右へ春過ぎる      勝
二 歓声が風を追い越し夏に入る    牧羊
二 両国に触れ太鼓鳴り夏来る     兆弥
二 いつまでのコロナ籠りや靴に黴   まもる

一 つばめ乱れ飛ぶ球場は無観客    広
一 足濡らす波の冷たき立夏かな    広
一 ワクチンの接種待たるる今朝の夏  まもる
一 夏来るあざやかなりし脚線美    二丁目
一 眼で語る文楽人形夏立てり     雪子
一 舞止まぬ手話の子の指夏近し    雪子
一 背伸びしても見えぬ春の愁いかな  恵那

けがれなき「水の惑星」卯波立つ  二丁目
郭公の声で目覚める琉球弧     二丁目
皮焼ひて熱き空豆つまみたり    兆弥
緑陰に入りて三世の夢見かな    利水
薔薇一輪不運の王女甦る      利水
夏立つやコロナに慣れてゆく日常  恵那
空囃子せめての祭おらが村     勝
静嘉堂入門の列白牡丹       牧羊

      

さくら句会(第172回)R3/4/26(通信句会)

四月の句会は、十名により兼題の『春宵』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊(十名)

五 干す傘にゆふべの落花二三片    まもる
五 日脚伸ぶ全集括る真田紐      雪子

三 春宵や影絵となりし二人連れ    利水
三 捨てられた特効薬ぞ四月馬鹿    二丁目
三 ベランダの風かぐはしき春の宵   まもる
三 御朱印に押し花添えし花祭り    利水

二 川の音聴く二人あり春の宵      牧羊
二 熊蜂のうなり横切る鐘撞堂     二丁目
二 ウインドのピエロの涙春の宵     雪子
二 ロリータのファッション数多春の宵 恵那
二 水温むコットンパンツの折り目かな 恵那
二 待合の軒灯ともる春の宵       兆弥
二 潮の香の漂ふカフェや春灯     

一 城跡の堀に小さき花筏       晃子
一 清水に隣る鳥辺野春の月      雪子
一 義士祭駅に届きし塩万十      二丁目
一 口笛に甘き囀り返りけり      利水
一 目黒川遠慮がちなり花衣       勝
一 野良猫も寝るところ在り春の宵   兆弥
一 黄緑に葉の芽吹きたる欅の樹    兆弥
一 これからといふに目が覚め春の夢  まもる
一 本腰の経理の眉間四月かな      牧羊
一 連絡船かもめと遊ぶ春日かな     牧羊

路地裏にざわつくペアー浮かれ猫    恵那
隠家めく旧き酒房や春の宵        広
はつなつの川光をり斎場出づ       広
春の宵今日のディナーは白ワイン    晃子
風をよび光集めし雪柳         晃子
春宵を色行き交へる世田谷線       勝

     

さくら句会(第171回)R3/3/26(通信句会)

三月の句会は、九名により兼題の『春寒』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、利水、二丁目、広、勝、まもる、雪子、牧羊、兆弥、(九名)、晃子(選句のみ)

  湯を注ぐ万古の急須梅白し    広

 ジーンズの大きな裂け目水温む  恵那
四  下萌や河原に深き出水跡     雪子

 椿落ち踏みどころなき石畳    まもる
 喜寿となり何も変わらぬ菫草   兆弥
三 池の面にさざ波立てて春一番   まもる
三 熱きにも(こら)への無くて蜆汁  勝
春寒や昼には終はる一日葬     雪子

二 ある筈の暖簾の影なく春寒し   二丁目
二 春寒や潮音の遠き新造地     勝
二 生垣の香り立ちたる沈丁花    兆弥
二 薄縁の敷かれし順路梅まつり   雪子
二 東風強し北前船の寄せし波止   牧羊
島陰へ子の待つらしき春鳶    牧羊
二 ふるさとを見据えて帰る雁帰る  恵那

一 明け方のこむら返りや春寒し  まもる
一 医療者の白衣の激務辛夷咲く   利水
一 春寒やまだまだ続くズーム会   恵那
一 春雷やコロナ失せよと響きをり  利水
一 春寒し町の中華屋閉店す     広
一 釣客のふたり数ヘリ水温む    勝
一  春寒やふと持ち上がる灯油缶   牧羊

襟立ててバス待つ人や春寒      利水
猫の恋小石を探す約二人       二丁目
校門に人を迎へて桜咲く       二丁目
春寒や猫も布団に潜り込み      兆弥
のどけしやデイホームに懐メロ歌ふ   広

さくら句会(第170回)R3/2/26(通信句会)

二月の句会は、十名により兼題の『雪晴』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】晃子、恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊(十名)

 雪晴や干したる夜具の陽の匂ひ   兆弥
五 土の香や雑木林に春の雨       広

四 手の窪にあまる八十路の年の豆   まもる
四 濃き赤の色そのままに落椿     兆弥
四 岬鼻の風のなかなり野水仙      広

三 雪晴やひがな障子に遊ぶ鳥      勝
三 羨ましやかくも激しき猫の恋    利水
三 雪晴や塔のやうなるジャンプ台    広

二 雪晴やグーグルアースに見る故郷   雪子
二 どの梅の下にも人の夕べかな     雪子
二 換気など要らぬ独り居潤目焼く    牧羊
二  菩薩像訪ねる湖東や薄氷       勝
二 雪晴の空をゆっくり観覧車     まもる

一 鳥雲に銀座むすめは泣き腫らす   二丁目
一 重ね着の穴が見つかるラクダかな  二丁目
一 ふきのとう山すこやかに目覚めけり  雪子、
一 探梅の人ぽつりぽつりや花ぽつり   勝
一 桜餅残りし指の桜の香        晃子
一 雪晴れや梢を渡る鳥の声       晃子
暗闇のさきにぼんやり雨水かな    恵那
一 ひと雨にグランドの隅草萌ゆる    まもる
一 雪晴やそぞろにぎわう裏小路     牧羊

春一番ブラスバンドの音走る      利水
雪晴を瞼つむりて想ひけり       利水
雪晴れの湖畔にひびく武田節      二丁目
いつもの朝雪晴のラジオ体操      恵那
梅咲くや過疎の神社の古き門      晃子
凛として白梅天に向かひたり      兆弥
キラ星を探す如月のベランダ      恵那
東風吹いて菅公頼む親繁し       牧羊

さくら句会(第169回)R3/1/25(通信句会)

一月の句会は、十名により兼題の『熱燗』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。通信句会

【参加者】晃子、恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊(十名)

六 加湿器の蒸気真直や雪催       雪子

五 書癖の変わらぬ友の賀状来る     雪子
五 冬舞ひて人なき赤レンガ      勝    

四 熱燗や闇市ありし南口        雪子
四 めでたさやアクリル越しの春の礼   牧羊

三 万両の紅をくはへて鵯翔ちぬ     まもる 
三 星空も張り付きたるや寒の入り    利水

二 黒豆の色つややかに年迎ふ      晃子
二 熱燗やいつもの席のひとり客     晃子
二 熱燗にむせて議論も和みけり     利水
二 政府(ぼん)首脳(くら)の見通し甘し燗熱し 恵那
二 冬の星未知の宇宙を行く勇気     広
二 熱燗で流行り病に勝てるかな     二丁目 

一 一升を一人であける春三日      二丁目
一 嫁たちの肌で温めし屠蘇の酒     二丁目
一 熱燗やちろりに七分の酒の嵩     兆弥
一 凍晴や祝優勝の幟旗         兆弥 
一 日脚伸ぶ書斎の窓のうす明      晃子
一 熱燗やルバシカを着る老マスター   広
一 熱燗の酌した指を冷やす耳朶     まもる
一 よその鳥薄目で見やる浮寝鳥     牧羊

一礼しグランドに立つラガーたち   まもる
初夢や見るには早き目覚めかな    利水
牡蠣殻の開くこと難き寒さかな    勝
熱燗のしみて寂たり土間の席     勝
日差し出て寒ゆるむ己が心も     広
風も無き人も無き三ヶ日       兆弥
コロナ止み普通の日々よ初夢よ    恵那
コロナてふ泥沼ズッポリ去年今年   恵那
意に添わぬ話のようで燗熱し     牧羊





令和2年の活動

さくら句会(第百六十八回)令和二十二月二十五(通信句会)

十二月の句会は、十名により兼題の『師走』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊

五 古ボタン小箱にあふれ一葉忌     まもる
五 寺町のたそがれ頃や菊焚く香     まもる

四 冬茜明かぬ夜なしと染めており    利水
四 さざ波に身をまかせたる浮寝鳥    晃子

三 人の世と桜落葉のうらおもて    勝
三 ラグビーの日向と陰のグラウンド  兆弥
三 閉店のビラ舞ひ降りる師走かな   利水
三 寒暁のラジオの楽はオラトリオ   広

二 牡蠣鍋を食べて慰さむ旅心     まもる
二 街師走払へば払へるツケ一枚    二丁目
二 病窓に南アルプス見え師走     雪子
二 凍雲やコロナ疲れの夕陽落つ    恵那
二 風花や鎧戸閉ざす町の茶舗     広
二 退散を師走に問はば鬼笑ふ     牧羊

一  ぼろ市やキムタク若きブロマイド   雪子
一 これやこのふいご祭の稲荷堂     二丁目
一 これほどに動かぬ街の師走かな    勝
一 北風を来てオムライスまっ黄色    雪子
一 夜の街人まばらなる師走かな     広
一 極月を締めくくりたる居酒かな    恵那
一 冬帽子被りて紳士の顔となり     晃子
一 枇杷咲いて杖甲高き石段や      牧羊

コロナ禍や父母とも会へぬ師走かな  晃子
三密が大賞となる年の暮       利水
客ふたりバスの静かに残り菊     勝 
けとばしのフランス料理や桜鍋    二丁目
何が変わるのか臘月のなすり合い   恵那
店番が居眠りしている師走かな    兆弥  
義士の日や太くて長きロール雲    兆弥
冬服や交差点の色減りにけり     牧羊

さくら句会(第百六十七回)令和二十一月二十通信句会)       

十一月の句会は、十名により兼題の『木枯(凩)』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊

六 木枯の吹き残したる星ひとつ           まもる 

四 どの家も屋号持つ町鮭颪            雪子
四 木枯や音たて廻る床屋の灯           晃子

三 常となるマスクの下の不精髭           二丁目
三 軽やかな遮断機の音冬日和           兆弥
三 凩や外苑の木の尖りゆく            恵那

二 木枯やとぎれとぎれの鐘の音          利水
二 新しき箒備えて冬はじめ            兆弥
二 木枯らしや不和の夫婦の比翼塚         雪子
二 秋冷えの歓声逆転本塁打           
二  父と子の並ぶスケボー小春風          雪子
二 濃く淡く雀色なる秋夕焼            晃子
二 凩や海鳴り響く島の宿           
二 赴任先へ妻が土産の庭の柿           牧羊

一 地下街の上の凩くにの母            牧羊
一 渓谷や紅ひとさしの薄紅葉           利水
一 繋がれし観光船や鶴きたる           利水
一 ホットウィスキーの湯気不老不死       恵那
一 豊饒の海読み返す冬の海            恵那
一 優勝を逃せし力士竹の春           
一 地ビールの焦げたる香冬うらら       
一 爽やかに道ゆく子らやグータッチ       
一 木枯しの一号やりて街伏せる         
一 木枯らしや缶蹴り娘の前あるく        二丁目
一 かざす手に時雨つめたき家路かな       まもる

音もなく銀杏落葉の散り積もる        まもる
熟れ柿を数多見上げてゐたるかな       二丁目
こがらしに吹き飛ばされし帽子かな     兆弥
小春日や足軽やかな散歩道           晃子
茣蓙の隙間爪先立ちの運動会          牧羊

さくら句会(第百六十六回)令和二十月二十六通信句会

十月の句会は、十名により兼題の『秋刀魚』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、晃子、兆弥、牧羊

五 草の葉にすがりて吹かる秋の蝶    まもる
五 暮れかかる空に緩びしいわし雲    まもる
五 山門を潜る梯子や松手入       牧羊

四 地を這ひて流れる霧やの森     広
 菜箸を焦がして焼くや初秋刀魚    まもる

三 定食の盆に尾を出す秋刀魚かな    晃子    
三 店畳む畳職人冬隣          兆弥

二 次郎柿や故郷持たぬ東京人     二丁目
二 蛇穴に陰陽検査を終えてより    二丁目
二 窓も戸も開けて秋刀魚やワンルーム   雪
二 大漁の昭和は遙か秋刀魚焼く      利水
二 オンライン講師の胸の菊一輪      利水      
二 街なかを目のみが喋るマスクかな     勝
二 誰しもがくぐる関門老いの秋      恵那
二 亡き兄の形見の靴や秋彼岸       兆弥

一 名も知らぬ秋草いとし人恋し      利水
一 鯊あそび羽田の川の淀みかな      勝
一 半身の秋刀魚おろし金の不満      恵那
一 娘来て秋刀魚焼きをる夕べかな     広
一 秋の蚊の姿も声もなく刺さる      晃子

七輪にさんま烟らす母屋かな        勝
秋めくやカナトコ雲の黒き裾       恵那
ふるさとや鮭のはららご朱鮮やか      広
夏果てやジンタ流るるとしまえん     雪子
スマホ繰る皴深き手や秋祭        雪子
老いてなお路地で秋刀魚を焼く女     二丁目
煙も出ず焼けし秋刀魚を皿にとり     晃子
七輪の昇る煙や秋刀魚火事        兆弥
睨まれた秋刀魚に尽きた愛想かな     牧羊
秋晴れや掃除機唸る南窓         牧羊

さくら句会(第百六十五回)令和二九月二十六  (通信句会)       

九月の句会は、九名により兼題の『虫』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

【参加者】恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊

五 念入りに浴槽洗ふ白露けふ  まもる

四 謄本に誰も知らぬ名秋彼岸   雪子
四 秋風に押され万歩の遠出かな  利水
四 微動してむくろとなりぬ秋の蝉 恵那
四 崩れ塀に白き日の降る秋の蝶  広

三 箸を持つ手のふと止まる虫の声 まもる
三 無番地といふ番地なり虫時雨  雪子

二 虫の声小学校に燈ひとつ    広
二 手招きのごとく揺れをり百日紅 まもる
二 出そびれて見上ぐる彼方鳥渡る 利水
二 はやばやと飯炊きあがる夕野分 雪子
二 西域や月にらくだの蒼き影   勝

一 鈴虫が起きよ起きよと鳴く夜明け 兆弥
一 風に乗りかなかなの声届きたり 兆弥
一 ガーデニング長びく夕や虫の声 勝
一 秋の夜や隣家の謡い同い歳   勝
一 アベノミクス病に負けて秋暑し 恵那
一 三密を求めてすだく虫の声   利水
一 白墨の対角線のちんちろりん 二丁目
一 野茨や足捕られても目指す峰  牧羊

病める人捨てる人ありへこき虫  恵那
ノンアルも味に違ひや宵の月   広
東京の大いなる梨食ひたまへ  二丁目
秋彼岸悪霊亡霊入れ借はる   二丁目
台風の余波の雲より雨つぶて   兆弥
なりわひの土間に降るれば蟲の声 牧羊
新涼や海思はざる日は暮れる   牧羊

さくら句会(第百六十四回)令和二八月二十四 (通信句会)      

八月の句会は、十名により兼題の『朝顔』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

 【参加者】晃子,恵那、二丁目、広、勝、まもる、雪子、利水、兆弥、牧羊

六 カンナ咲く路面電車の残る町  雪子

五 立ち向かふすべなく籠るかたつむり まもる

三 崖上に人住むらしき南瓜咲く   勝
三 黙然と素麺啜る負け戦    二丁目
三 木洩れ日のさやさや降りて茗荷の子  
三 朝顔の絵手紙帰省に代はりけり 利水
三 盆東風や旅の鞄のうす埃    雪子

二 父母に小菊供へて盆となす    広
二 朝顔や母の好みの納戸色   まもる
二 朝顔の色賞でてより長話     勝

二 泥水の滝となりての白さかな  牧羊

二 朝顔の花芽ふくらむ軒しづく   広
二 湯治場の軒まで咲きし牽牛花  兆弥
二 世の動き眺むる日々や日日草  利水
二 話す声聞こへぬほどの蝉しぐれ 晃子

一 朝顔の種こぼれけり薬包紙   雪子
一 朝顔や路地に警官来て覗く  二丁目
一 朝顔や高層階を見上げをり   恵那
一 コロナ禍に負けてはならぬ敗戦忌 恵那
一 風鈴や月の光をしたたらせ  まもる
一 退役の戦艦仰ぐ夏の雲      広
一 炎昼や屋根の焼けたる臭ひあり 兆弥
一 青岬白き灯台白き風      晃子

湘南の松風の中蝉時雨     兆弥
人恋ひて隣家のぞくや立葵   利水
戦争を無き世の八月十五日   恵那
草木染朝顔の色だしにけり   晃子
氾濫の始末どうする川開き  二丁目
緑陰や斑入りの径に息を吐()く 牧羊
門先を掃いて終わって朝顔や  牧羊

さくら句会(第百六十三回)令和二七月二十七 (通信句会)
七月の句会は、九名により兼題の『団扇・扇子・扇ぐ』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
【参加者】晃子、恵那、兆弥、二丁目、広、牧羊、勝、まもる、兆弥
六 過ぎし日の香ほのかな古扇    晃子

五 沈黙を破る扇子を開きけり    雪子
五 貝風鈴海の香りも運びけり    晃子

四 半夏雨網戸に遺る猫の道     雪子

三 出航の船の灯ゆたかパリ―祭  まもる
三 夕べには散る白蓮のなほ白し   雪子

二 サングラスはづして検査結果聞く まもる
二 絵団扇を貰ふ交通安全日    まもる

二 新聞の届きし音や明易し     兆弥

一 似て見ゆる若者の貌青ふくべ    広
一 登校の児童の笑顔梅雨晴間    晃子
一 本棚の隅に数多の団扇かな    恵那
一 待合の女将のあおぐ団扇風    兆弥
一 軒行燈木曾路の宿の渋うちわ    勝
一 浴衣デート紅よ帯よとせかす母   勝
一 町々に祭り稽古の音の無し     勝
一 張扇を打ちて天保水滸伝    二丁目
一 すぐ忘る難読の文字ちんちろりん  広
一 雲の峰押し戴きし小豆島     牧羊
一 渋団扇太鼓鳴るかの夕支度    牧羊
一 杉山に二本滝あり峠坂      牧羊
一 うすものや碁敵はスマホ碁石拭く 恵那

口覆ふガーゼの光る木下闇   二丁目
嘉例吉日花橘の香にあへり   二丁目

長梅雨やマスク付けねば非国民  兆弥
己が過去仮置くPC土用波    恵那
文庫本の細字に倦める団扇かな   広 

さくら句会(第百六十二回)

令和二六月二十二(月)
於 桜新町区民集会所第会議室

六月の句会は、十名により兼題の『万緑』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
           披講 松尾守(俳号・まもる)
【参加者】晃子、恵那、勝、まもる、雪子、兆弥、牧羊(会場参加七名)
  利水、二丁目(上馬の改め)、広、(通信参加三名)
( )は特選

(特選1)五 空の色映して咲きし手毬花      兆弥
(特選1)
五 熱帯夜タオル蹴とばす蒙古斑     恵那

(特選1)四 万緑の中や小暗き阿弥陀堂      まもる

(特選2)三 万緑や一日切符尽きるまで       勝
(特選1)三 瀬戸内の海の明るさ花蜜柑       広
    三 くちなしのはや蕾より香を放つ    まもる

(特選1)二 万緑を一気飲みして金平糖      恵那
(特選1)二 万緑や七面山の奥の院        晃子
(特選1)二 風薫る人の流れの行く末は      兆弥
    二 梅雨入やぽつりぽつりと予定表    晃子
    二 踏切の矢印右へ春過ぎる        勝
     二  咲きこぼれ踏まるるままに柿の花   まもる
    二 昼下がり媼(うば)が鰻で一人酒    牧羊
     二 観客の無き球音や風薫る       利水
     二 紫陽花や昨日の色よ今日の色     晃子
    二 寝そべった隣の犬の暑さかな     二丁目
    二 単線の紫陽花を縫ひ渓に沿ひ      勝


     一 万緑や行列長きキッチンカー     雪子
    一 万緑や葉先は淡き檜山        牧羊
(特選1)一 万緑や田舎屋敷は母一人       二丁目
     一 花火の夜茣蓙よりこぼる去年の砂   雪子
    一 グラジオラス揺れて宣言解除さる   恵那

      この星に生まれし不思議立葵      広
      時の日を忘る令和の暦かな      利水
    黴の香を逃がす晴れなし海の宿     牧羊
    万緑に異国のひとと足湯かな      広
    万緑や地球の汚染隠しをり      利水
    万緑や吉行まり子の過ごし家     兆弥
    紫陽花や五輪マークを指で消す    二丁目
    一葉の井戸残る路地藤の花      雪子

令和二年七月のさくら句会
開催日 七月二十七日(月)一三時から 
兼題 団扇(うちわ)扇子(せんす)(おうぎ)
場所 桜新町区民集会所第会議室



さくら句会(第百六十一回)(通信句会)令和二年五月

今回は十名の方にご参加いただきました。

【参加者】晃子、恵那、上馬の、広、牧羊、勝、まもる、雪子、利水、兆弥(十名)

(特選1)五 老生に戻る日告げや燕の子        勝

(特選1)四 屋根を打ちまろぶ実梅の行方かな     まもる
(特選1)四 制服の二の腕まぶし更衣         まもる

    三 断捨離の苦手なる妻更衣         広
(特選1)三 二の腕の注射の跡や衣更         利水

    三 山の風襟へと抜ける更衣     雪子
(特選1)三 更衣シャツの薄さの肌触り        兆弥

(特選1)二 疫病のまたぐ季節や衣更         恵那
(特選1)二 ピカピカのランド背負はず衣更      勝
    二 たぐり揚ぐ近江の小港もろこ網      勝
(特選1)二 我知らず春満月に手を合はす       まもる
    二 更衣明日まで待てぬ今日の服       晃子
    二 薔薇の香に酔ひてベンチに足止むる    晃子
    二 甚平や疫病(えやみ)の歴史上下巻    広
(特選1)二 校庭に白波寄する更衣          雪子

    一 接触を十割絶って女郎花         恵那
    一 店先にほのかな香り桜餅         晃子
(特選1)一 コロナにはどこ吹く風の青葉かな     利水
    一 五月雨や大威張りなる引き篭り      利水
    一 衣替へて新しき日常を問ふ        雪子
    一 アオザイを素足のままで靴はいて     上馬の
    一 麦の秋九九のおさらい風呂の中      牧羊
    一 聖五月真っ白になりたる予定表      兆弥
    一 右膝に痛み走りて五月尽         兆弥

     第二波や蛇の出た藪忍び足        牧羊
     テレワーク去年よりゆるり衣更え     牧羊
     春寒しディスタンスが保てない      恵那
     折込なき朝刊薄し蟾の声         広
     五月祭「不屈の民」を知らざるや     上馬の
     白骨の魂語る蓮如の忌          上馬の




さくら句会(第百六十回)
                    令和二二月二十四
                    於 桜新町区民集会所第会議室

二月の句会は、十名により兼題の『紅梅』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
     披講 下田晃子(俳号・晃子)

    (特選二) 五  蕗味噌の少し残して妻逝きぬ     勝
    (特選一) 五  行灯に母の面影母の雛        広
          五  雪吊りのゆるびし縄の風に鳴る    まもる

    (特選一) 四  池の面を少し盛り上げ蝌蚪群るる   まもる
          四  紅梅の香の中逝きし句兄かな     兆弥

    (特選二) 三  つくばいの水にあふれし春の空    利水

    (特選二) 二  木の芽晴れ野生インコの群なして   晃子
    (特選一) 二  早天の薄紅梅と白い月        上馬の
    (特選一) 二  アールグレイの柔き酸味や春隣    恵那
           二  紅梅や村の娘に似た観音像      雪子
          二  空席を一つ見つけて春麗       恵那
          二  揚げて良し和へてなほ良し蕗の薹   晃子
          二  紅梅や女将ひとりの小料理屋     広
          二  春めくや真珠飾りし白き髪      雪子

          一  子連れ母荷物多しや春暑し      広
          一  ありのまま枯れて吹かるる猫じゃらし 勝
           一  紅梅や弔問の庭に紅すぎて      勝
          一  バス停を立去りがたき野梅かな    上馬の
          一  紅梅の由来の札や江戸薫る      利水              
          一  紅梅や微かに違ふ紅の色       晃子
          一  黒楽の底まっくらや利久の忌     雪子
          一  落椿器に入れて早七日        兆弥

             三本の河津桜や生徒待つ       兆弥
             白壁の棟瓦燃ゆ紅梅よ        牧羊
             紅梅や角の喫茶店でダージリン    恵那
             ベランダの花々春を先取りぬ     利水
             紅梅も舞ひ散る日差し合格日     牧羊
             新しきこども園建つ沈丁花      牧羊
             へびいでてすぐに監視カメラかな   上馬の
             雨に濡れ紅梅の色深まりぬ      まもる



さくら句会【第百五十九回】
                    令和二一月二十七
                    於 桜新町区民集会所第会議室

十二月の句会は、初参加の田波直子(俳号・直)さんを加え十名と一名の
の投句により兼題の『人日』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
     披講 田中 勝(俳号・勝)

    (特選二) 五  豆まきや胸に小鬼の棲みし日も    雪子
    (特選一) 五  旅の夜のスマホに届く年賀かな    雪子
    (特選一) 五  冬麗身重の嫁のスニーカー      恵那

          四  北風が絡めとる色街沈む       勝

          三  つれあひの頬の赤さや雪見酒     上馬の
          三  人日のジビエの肉に舌づつみ     広
          三  逃したる奴はレバノン除夜の鐘    牧羊

    (特選一) 二  木漏れ日に刺されていたい小正月   恵那
    (特選二) 二  人の日や親に見せない恋占ひ     上馬の
    (特選一) 二  どの帯もみな派手目なり女正月    たか二
      二  へばりつく青草もあり冬のゆく    勝
          二  冬休どこでもドアでベイルート    牧羊
          二  冬茜影絵のごとき小さき富士     晃子

    (特選一) 一  人日のラジオ体操子も集ふ      広
    (特選一) 一  日の出でて日の入りてはや七日かな  利水
    (特選一) 一  人日や一升の酒の飲み納め      兆弥
          一  正座して主待つ犬北颪        たか二
          一  買い手待つひる人日の骨董店     勝              
          一  初詣鳥居くぐりてなほ半ば      利水
          一  里山にとんび笛吹き春隣       まもる
          一  若水や小窓に朝の光さす       晃子
          一  手弱女を親に持つたか冬の蠅     上馬の
          一  初空や飛行機雲の一文字       利水
          一  人日や鮨に列なす異邦人       まもる
          一  初電車専用発に駅遠のく       広
          一  人日や繰返し読むAI句       雪子
          一  人日や尖り始める腹の虫       恵那

             初場所の幕尻力士勝ちて泣く     まもる
             人の日やおみくじの相読み直す    牧羊
             人びとの行き交ふ街の七日かな    晃子
             いきがりしかぶった日々の冬帽子   直
             受け取りし賀状の文はこれきりと   兆弥
             訪ねくる猫にかつぶしお年玉     直
             人日や孫は博士の許嫁と       たか二
             枯枝の一羽のめじろ飛び立ちぬ    兆弥
             おかゆかむ元旦に想う人日      直




令和元年の活動

さくら句会【第百五十八回】
                    令和元十二月二十三
                    於 桜新町区民集会所第二会議室

十二月の句会は、九名の参加により兼題の『冬日和』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
     披講 榎並俊一(俳号・恵那)

    (特選一) 四  山茶花や余白の多き日記帳      晃子
    (特選一) 四  住みにくき世やぎんなんを踏み歩く  勝     
    (特選一) 四  石壁に動かぬ蜂や冬日和       雪子

    (特選二) 三  老夫婦の袋小さし年の市       雪子
    (特選一) 三  あみ綱をむんずとたぐる冬の海    勝
    (特選一) 三  新家庭窓一杯のクリスマス      利水
    (特選一) 三  冬日和隅田の橋の五つ越え      利水
          三  冬麗異人のはしゃぐ交差点      恵那
          三  妻の切る冬至南瓜の硬さかな     兆弥

    (特選一) 二  さりげなく暮の家出る懐手      たか二
          二  冬銀河行き着く先の山暗し      恵那
          二  日の延びる兆しありたる冬至明け   兆弥

          一  渓の声闇に訪ねし冬の朝       牧羊
          一  降る雪や隠れ家めける酒亭の灯    広
          一  冬晴や火の見櫓の赤き屋根      晃子              
          一  冬日和気負ふて登る男坂       広
          一  七五三祝赤き柱の駅に降り      雪子
          一  空色の園児の帽子冬日和       たか二
          一  冬日和小鳥と菓子を分ちけり     利水
          一  立山の御座す駅前冬日和       牧水
          一  冬日和小さきかばんにシルバーパス  広

             紅と白馴染み無き名の並びをり    勝
             鳰や水面に出ては知らんぷり     牧羊
             青空の紙飛行機や冬日和       兆弥
             冬日和満員電車の密着度       恵那
             空へ伸び渋谷の街は年を越す     たか二
             日向ぼこ古き手紙の整理して     晃子


さくら句会【第百五十七回】
                    令和元十一月二十五
                    於 桜新町区民集会所第二会議室

十一月の句会は、九名の参加と二名の投句により兼題の『綿虫』一句と
自由句二句を持ち寄り行われました。     披講 江原利次(俳号・利水)

    (特選一) 五  ポケットにのど飴ふたつ冬に入る   雪子

    (特選一) 四  短日や書店の椅子の賑わひて     晃子

    (特選一) 三  綿虫や発寒といふ北の駅       広
          三  父の背に昼の匂いの小春かな     牧羊
          三  パステルを重ねるほどに濃き紅葉   勝

    (特選一) 二  紬織る機のリズムや雪蛍       たか二
    (特選一) 二  侘助や超高層の窓のふち       上馬の
    (特選一) 二  綿虫の浮遊眺めるシャッター街    利水
          二  日だまりの梢に小さき返り花     晃子
          二  綿虫や小樽運河に灯のともる     広
          二  峠越え雪虫来たる銀座かな      雪子
          二  猫の鼻かすめ落ちたる朴落葉     兆弥
          二  綿虫や天の高みを雲の往く      勝

    特選一) 一  綿虫や息吹きかけて飛ばしけり    晃子
    (特選一) 一  潮騒に人声まじる憂国忌       まもる
    (特選一) 一  小夜時雨滲む灯火や道光る      利水
          一  綿虫や静かに暮るる川の町      広
          一  ドアノブの綿虫発つをしばし待つ   まもる
          一  埋立ての街に山茶花こぼれをり    雪子
          一  カシニョール真似る頬杖月の下    勝
          一  コンビニのおでん買ひ足す夕まぐれ  まもる
          一  ダイヤモンド富士なにごともなき日常 恵那
          一  綿虫や友はらからの無き国に     上馬の
          一  長谷寺やしぐれても遠き外舞台    たか二

             冬めくや義足の伯父に嫁した叔母   牧羊
             宙に舞ふ小さき命雪蛍        兆弥
             雪蛍いつもの酒に叱られる      恵那
             綿虫を背なに居眠る赤子かな     利水
             穴惑老境入りの俳諧師        上馬の
             ラグビーに沸き立つ国の不思議かな  たか二
             綿虫や同窓会の帰り道        牧羊
             ノーサイド笛の音待ちしラグビー戦  兆弥
             天皇車のナンバープレート山粧ふ   恵那


さくら句会【第百五十六回】
                    令和元十月二十八
                    於 桜新町区民集会所第二会議室

十月の句会は、十名の参加により兼題の『青蜜柑』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。
              披講 富塚兆弥(俳号・兆弥)
    (特選一) 六  新米や移住家族の子沢山       雪子

    (特選一) 五  タンカーの巡る岬や青蜜柑      牧羊
    (特選一) 五  箱根路の銀の風なる芒原       晃子
    (特選一) 五  三振の子に投げてやる青みかん    雪子

    (特選一) 三  青蜜柑つめに香りの残りけり     晃子
          三  野分行き通い猫来ぬ勝手口      勝

    (特選一) 二  暁の朱色の空や小鳥来る       兆弥
    (特選一) 二  邪念なく柵なくて青蜜柑       恵那
          二  バラバラの家族あつめる青ミカン   上馬の
          二  秋出水二子玉川駅に魚        たか二
          二  水彩の筆とる人や秋日和       兆弥
          二  引き返すほどのことかと青蜜柑    牧羊
          二  退院の妻のほほえみ初秋刀魚     たか二

    特選一) 一  望郷のゴリラのひとみ秋深し     雪子
    (特選一) 一  ひとつだけ色付き初めぬ青蜜柑    たか二
    (特選一) 一  ラグジャーで一つになって秋暑し   恵那
          一  山粧ふ色とりどりの車列あり     晃子
          一  訪ね来て姉弟分け合ふ青蜜柑     兆弥
          一  暴れ川流れし家の柿たわわ      利水
          一  明日のこと明日にしたいへこき虫   恵那
          一  抓られて椀へ鉢へと酢橘かな     牧羊
          一  ボサノバや萩の露台の趣味話し    勝

             雨降って色鳥過ぎる安房上総     上馬の
             栗拾い竹べらうまき餓鬼大将     利水
             着ぐるみのくまモンが売る青蜜柑   まもる
             青蜜柑摘むには惜しき風情かな    利水
             彼方より紅白の歌青みかん      勝
             ベランダに並ぶ花鉢小鳥来る     まもる
             鹿鳴くや千曲を越ゆる山の寺     上馬の
             夕風に衿元さびし寒露かな      まもる



さくら句会【第百五十五回】
                    令和元九月二十三
                    於 桜新町区民集会所第二会議室

九月の句会は、八名の参加者、二名の投句により兼題の『萩』一句と
自由句二句を持ち寄り行われました。  披講 暮田忠雄(俳号・上馬の)

    (特選二) 四  ぬか雨を宿して枝垂る萩の花     まもる
    (特選一) 四  表札に女名前や萩日和        雪子

    (特選二) 三  秋うらら僧と巡査の立ち話      たか二
     (特選一) 三  背を反らしヨガの指さす天高し    利水
          三  掃き寄せし木の葉山なす野分あと   まもる
          三  新涼や裾野駆けゆく天気雨      雪子

    (特選一) 二  望月や明日棟上げの槌の音      たか二
          二  遠富士に秋夕焼の紅あはし      まもる
          二  秋風や花束提げし老紳士       利水
          二  あれやこれ思ひ継ぎ間のぬくめ酒   勝
          二  安房はいま木守雨漏り野守草     上馬の
          二  逃げ帰る寝間の小窓の良夜かな    牧羊              
          二  蟷螂や目を三角に睨みをり      兆弥

    特選一) 一  誰一人知らぬ町なり夜の萩      牧羊
          一  かかし居り関東平野睨むごと     勝
          一  螺髪なるとんがり帽子と団栗と    恵那
          一  行く道や萩こぼれたる奥の院     利水
          一  見得をきる子供歌舞伎や豊の秋    晃子
          一  サンバ祭レモンの尻の張り具合    恵那

             ヒマラヤ杉倒してゆきし野分かな   兆弥
             銀泥の残る短冊秋澄めり       雪子
             門の萩括り退院の妻を待つ      たか二
             あたらしや親子二代のプチトマト   上馬の
             送り出す夜業の工夫重き靴      牧羊
             課外活動の声突き抜けて萩日和    恵那
             雨やまず季語で遊びし獺祭忌     晃子
             乱れ咲くそぞろ歩きの萩の道     兆弥
             訪ねきし寺のここそこ萩の花     晃子
             稲城だぜ梨の新種の貰ひ物      上馬の
             猟銃を手に新酒飲る猛者男      勝




さくら句会【第百五十四回】

                    令和元八月二十六
                    於 桜新町区民集会所第二会議室

 八月の句会は、七名の参加者、四名の投句により兼題の『柿』一句と
自由句二句を持ち寄り行われました。選句は一人六句選びました。
句会後有志五名で桜新町駅前の Hegira において暑気払いを行いました。
                    
披講 津島晃一(俳号・牧羊)

          四  きっちりと裾そろひたり吊し柿    雪子

    (特選二) 三  かなかなや夕風生るる厨口      まもる
    (特選一) 三  照る柿や唐津の里の赤絵皿      利水
          三  柿食ふや喜寿の日日是好日      広
          三  毀たれし古里の家木守柿       たか二

    (特選一) 二  喪の家の灯のあかあかと夜の秋    雪子
    (特選一) 二  ガラス戸の蛾を浮き彫にいなびかり  まもる
          二  熱帯夜ガラスに写る鬼女の顔     上馬の
          二  生家いま住む人もなく柿実る     まもる
          二  土の香を振り撒き迫る夕立かな    利水
          二  盆の月一人楽しむ露天の湯      晃子
          二  秋灯や本も古りにし唐詩選      広              
          二  秋蝉や余命のかぎり鳴き通す     晃子

    特選一) 一  九十九折り谷間に灯る柿たわわ    牧羊
    (特選一) 一  ちちはははモノクロームなり無月なり 恵那
          一  柿を剥くそばから柿が逃げてゆく   恵那

          一  羽化の蝉殻よりいでて落ちにけり   兆弥
          一  盆帰省娘のごつい腕三男児      牧羊
          一  長月や氣比の杜の松千本       上馬の
          一  一球打たれ野球部の夏終はる     広
          一  蔓草の屋根までつるみ夏深し     利水
          一  子沢山母屋に丹精の吊し柿      勝
          一  ぼた餅を作るしあわせ終戦忌     雪子

             柿食へば家の数なき過疎の村     晃子
             公園の草食む犬や秋旱        たか二
             やまんばの消えて半年遠花火     上馬の
             しがみついたベースでアウト夏終る  牧羊
             柿の実を啄む烏二羽三羽       兆弥
             風水震厄日の厄の五指を超え     たか二
             襟立てて隣同志や今朝の秋      勝
             佐久広しコスモス融つ遠あいさつ   勝
             締め切り日右目の端に良夜かな    恵那
             夕空に孤を描きたる秋の虹      兆弥

さくら句会【第百五十三回】

                    令和元七月二十二
                    於:桜新町区民集会所第一会議室

七月の句会は、七名の参加者、三名の投句により兼題の『花火』一句と
自由句二句を持ち寄り行われました。 披講 矢後勝洋(俳号・広)

          四  鮎釣の長き竿見え越に入る      雪子

    (特選一) 三  籠枕海の香のする風通る       晃子
          三  病棟に音のみ聞きし花火かな     雪子

    (特選一) 二  聞こえるも聞こえぬも又遠花火    上馬の
    (特選一) 二  客ありて祖母の茶に添ふ団扇かな   牧羊
    (特選一) 二  大見得や五秒遅れの遠花火      恵那
          二  花火の夜暗闇さへも華げる      広
          二  遠花火海より上りしだれけり     晃子

    特選一) 一  鶏頭や旗艦沈みて生きる人      上馬の
    (特選一) 一  冷奴きみに角なし死角なし      恵那
    (特選一) 一  球場に東京音頭と揚花火       たか二
          一  金髪に白髪並ぶ夏期講座       利水
          一  北国の雨に濡れたる花火かな     広
          一  蜘蛛一匹右往左往の卓の上      兆弥
          一  炎昼の托鉢銀座和光前        たか二
          一  子の墓の前に咲き出づ捩花      上馬の
          一  梅雨空や満員電車の盲導犬      恵那
          一  肩車した子も子連れ花火見や     牧羊
          一  葛切や四条通りの大暖簾       たか二
          一  地に落ちし青柿くはへ鴉去る     まもる
          一  間遠なる風鈴の音にまどろめり    まもる
          一  山の端のぼんやり見ゆる二重虹    晃子
          一  手花火や過ぎゆく刻のいとほしき   まもる

             揚花火闇に人の世輝ひて       広
             風鈴や五百個連ね音さやか      兆弥
             空模様構ふことなし海開       牧羊
               遠花火湧く歓声の堤かな       兆弥
             暑きことは言はず越後上布着る    雪子
             花火師の描く瞬時の動画かな     利水
             梅雨じめり薬草風呂を独り占む    利水

                                     
さくら句会【第百五十二回】
                    令和元六月二十四
                    於:桜新町区民集会所第一会議室

六月の句会は、十名の参加者、二名の投句により兼題の『鮓』一句と
自由句二句を持ち寄り行われました。
                     披講 下田晃子(俳号・晃子)

    (特選一) 六  あじさいや父の句集に潜む母     恵那
    (特選一) 六  譲られし席のぬくもり走り梅雨    雪子

    (特選一) 五  もう履かぬ山靴みがく梅雨晴間    雪子

    (特選一) 三  寿司折を提げて昭和の父帰る     雪子       
          三  海光を返へす蜜柑の花の山      みづほ
          三  大和路や柿の葉鮨を家苞に      まもる
          三  荒梅雨の恐山まで至りけり      たか二

    特選一) 二  宙を切り鳥の飛び込む瀑布かな    利水  
    (特選一) 二  五目鮨孫ミュンヘンへ鹿島立ち    たか二
    (特選一) 二  小田原は海と城なり小鯵鮓      広
    (特選一) 二  薄紅に陽の無き背戸の茗荷かな    勝
          二  鮒鮓や編集会議沸騰す        恵那
          二   香るごと白木磨かれ鮨一貫      牧羊

    (特選一) 一  あさぼらけ喉の渇きと熱帯魚     恵那
    (特選一) 一  熟鮨を買ふ途中下車里帰り      みづほ
          一  深夜便聞くや聞かずは明易し     牧羊
          一  十薬を喧嘩相手と分ち合ふ      たか二
           一  蛍火に真直なみちのなかりけり    みづほ
          一  仲入りに柿の葉鮓と酒一合      兆弥
          一  息つくや著莪で明るき峠道      牧羊
          一  手捻りの白磁の器さくらんぼ     晃子
          一  梅雨寒や体育館の床堅し       利水

             古都の夜の酒席のしめの杮鮓     晃子
               飽かず観る名もそれぞれの花菖蒲   まもる
             梅雨寒やせがむ子猫に添寝して    兆弥
             鮒鮓や花背の里に藍のれん      勝
             青梅を集めて家族の仲間入り     上馬の
             食通の鮨の話や江戸風情       利水
             この山にパンダと竹の子生れけり   上馬の
             エニシダの箒見付けて魔女となる   上馬の
             睡蓮や池の面わかつ赤と白      まもる
             甥夫婦開く魚屋つばめ魚       広
             店頭に新種の並ぶ濃紫陽花      晃子
               少年の銀河に思ふ億光年       勝
             軽鳬の子や親に続きて道渡る     兆弥
             風薫る芝生に広ぐ茶巾寿司      広


さくら句会【第百五十一回】
                    令和元五月二十七
                    於:桜新町区民集会所第一会議室

五月の句会は、九名の参加者、二名の投句により兼題の『筍』一句と
自由句二句を持ち寄り行われました。

 披講 田中勝(俳号・勝)

    (特選一) 五  分け入れば風の迷路や夏木立     勝
    (特選一)
 四  山藤の風の形にゆらぎをり      晃子
    (特選二) 三  たかんなやちゃん付けで呼ぶクラス会 雪子
          三  紫陽花のせかされ咲くや季の乱れ   利水       

    特選一) 二  青嵐男ことばの女学校        たか二
    (特選一) 二  妻の歩のこのごろ小し金銀花     まもる
    (特選一) 二  守宮の仔窓にをり外暮れてをり    みづほ
    特選一) 二  さぐり足して竹の子を堀り始む    まもる
           二  黙祷の中過ぎ行けり若葉風      雪子
          二  レシピ添へ今朝の竹の子届きけり   晃子
          二  校長の訓話の声や桐の花       兆弥
          二  今年竹さはさは雨の降り出せり    広
          二  縁先に置かれし筍露光る       勝
          二  「竹の子は京のもんどす」祇園町    たか二

    (特選一) 一  葉桜やまた靴せがむ子の背丈     牧羊
          一  蝦夷地には生えぬ筍亡き母へ     広
          一  筍や古希まだ小僧ひとり酒      恵那
          一  尺取りの延び縮み行く真昼かな    兆弥
          一  ひとところ森の明るし山法師     まもる
          一  柏餅いつも独りの子に与ふ      たか二
          一  若竹や柱に残る古き疵        広
          一  明滅の蛍や蒼き闇に舞ふ       利水
          一  たかんなの穂先の新芽うすみどり   兆弥
          一  筍や一皮むけし新会員        牧羊

             竹の子や鎧の産衣まとい出づ     利水
             そっと見る息のちかくに天道虫    みづほ
             ダボシャツの袖たくしあげ皐月かな  恵那
             棹させど時は曲がらず改元日     恵那
             江戸褄や六月の庭風よぎる      勝
             筍掘り足裏へかすか土の盛り     みづほ
             隊商や楓樹の外の草いきれ      牧羊
             麦秋やフーテンの寅とすれ違ふ    雪子
             リビングの鏡にあふる青楓      晃子

さくら句会【第百五十回】
                    平成三十一四月二十二
                    於:桜新町区民集会所第一会議室

平成最後の四月の句会は、八名の参加者、二名の投句により兼題の『逃水』一句
と自由句二句を持ち寄り行われました。

 披講 松尾守(俳号・まもる)

                    こぼ      しずか
    (特選一) 四  海棠のひとひら零れをり閑      恵那
          四  過ぎし日の夢をはこぶか花筏     まもる

          三  雪解けや鈴の音させて車椅子     雪子
          三  葉桜となりて間引かれ空広し     利水

    特選一) 二  逃水の中を杖つく二人づれ      みづほ
    特選一) 二  感嘆符の満つる行間弥生かな     恵那
           二  風乗せてふらここ揺れる日暮かな   晃子
          二  従順な乙女と逢ひし春の夢      たか二
          二  逃げ水や父の生家も建て替わり    牧羊
          二  千の窓灯るビル街月おぼろ      まもる
          二  逃水を追ひて八十路へ踏み入れり   利水
          二  まはり道して夜桜の中帰る      雪子
          二  逃水を消しゆく機影滑走路      みづほ

    (特選一)  一  蜘蛛の糸そよ風に揺れ見えかくれ   みづほ
    (特選一) 一  逃水を追ふやうに生き八十路いま   たか二
    (特選一) 一  逃水を追ひふるさとの遠ざかる    雪子
    (特選一) 一  春昼や会席膳で迷う箸        牧羊
    (特選一) 一  花筏流れ流れて崩れけり       晃子
            一  ベランダや色彩り競ふ五月来ぬ    利水
          一  逃げ水や旅にあるらし人の生     勝
          一  凌はれし池に落花の五六片      たか二

               薄紅と白の並木や花みずき      兆弥
             逃水や平らかなけふ和みをり     恵那
             潮干けて上総や広し月おぼろ     勝
             草餠の札に誘われ商店街       牧羊
             縁結び願ふおみくじ花の宮      兆弥
             逃水やママチャリの子眠りをり    晃子
             逃水に映りては消ゆビルの影     まもる
             逃水を追いかけて行く一本道     兆弥
             散る花を仰ぎ令花とつぶやけり    勝

さくら句会【第百四十九回】
                    平成三十一三月二十五
                    於:桜新町区民集会所第一会議室

三月の句会は、九名の参加者、二名の投句により兼題の『長閑』一句と
自由句二句を持ち寄り行われました。

 披講 榎並俊一(俳号・恵那)

    (特選二) 五  山茱萸の花けぶらせる絹の雨     まもる

    (特選一) 四  花の雨音なく回る観覧車       雪子
          四  一人居の私を外へ初桜        みづほ
          四  初蝶や通学の児の列乱る       兆弥

    特選一) 三  白魚の笹の青さを透かしけり     みづほ
          三  暁の月ある空を鳥帰る        晃子
          三  長閑さや日がな一日ジャム作る    晃子

    特選二) 二  三月の余白を埋めて顔洗う      恵那
     (特選一) 二  のどけしや自転車のせる渡し舟    雪子
    (特選一) 二  入彼岸朱色のわが名清めたり     たか二
    (特選一) 二  諸葛菜母校に育つ山羊羊       上馬の
          二  パラ駅伝コースを過るシャボン玉   雪子

          一  のどけしや縁側に茶と香の物     たか二
          一  ワイシャツや春めく街に肩光る    牧羊
          一  鳴き交し水面を駆くる鳰の恋     まもる
          一  病みて知る人の情や春の虹      たか二
          一  爪切りやのどかな縁の新聞紙     牧羊
          一  空耳に亡き夫の声春のどか      みづほ
          一  屋根替えの大工が古さ語る寺     牧羊
          一  のどかさを独り占めして猫眠る    兆弥
          一  清浄な気を満腔に春の雪       利水

             薄紅のほのかに色づき初桜      兆弥
             春風を添へてバルーンを渡しけり   利水
             花時のシャンと呼ばれしこの柩    上馬の
             モヤモヤともソワソワともなく春の宵 勝
             「でかけるよ~」戸締りトイレしてのどか 恵那
             擦りわさび涙のかすか異なる噂    勝
             長閑さや枝の小鳥の居眠れり     利水
             川岸の馬の尿する風長閑       上馬の
             啓蟄やスマホで遊ぶ幼き児      晃子
             みちのくや段丘に閑けさひた待てり  勝   
             呑兵衛の男泣きするスギ花粉     恵那
             のどけしや猫身繕ふ屋根の上     まもる

さくら句会【第百四十八回】 
                     平成三十一二月二十五
                     於:桜新町区民集会所第一会議室

二月の句会は、九名の参加者、二名の投句により兼題の『薄氷』一句と自由句二句を持ち寄り行われました。

 披講 家井雪子(俳号・雪子)

    (特選一) 四  白鳥のしぶき煌めく助走かな     みづほ
    (特選二) 四  盛塩の崩れてゐたる春しぐれ     たか二 

          三  薄氷を柄杓で寄せる茶庭かな     利水
    特選二) 三  薄氷や手を取るほどの仲となり    牧羊
          三  まな板の音冴返る夕厨        晃子
          三  薄氷を杖にて遊ぶ翁かな       たか二
    特選一) 三  校庭の声弾け飛ぶ春北風       恵那

          二  裏庭の小さき窪みの薄氷       晃子
          二  一列に階段登る受験生        兆弥
          二  薄氷のすでに踏まれり通学路     雪子
    (特選一) 二  春めくやレモン色した月うるむ    まもる
    特選一) 二  花言葉といふ名のカフェ春近し    雪子

          一  老いらくの恋はあきらか薄氷     上馬の
          一  バス待てば足元光る春氷       広
          一  うすらひや飯にバターのマッチング  上馬の
          一  振袖に触れこぼれ散る室の花     みづほ
          一  白き笠胸に海見る遍路かな      牧羊
          一  風強し薄氷ひかる橋の上       広
          一  行く道や枯野に松の道しるべ     利水
          一  夜の更けて風冴返る山の宿      晃子
          一  清元の会料峭の紀尾井坂       たか二
          一  青空に飛び立つ雀寒の明け      兆弥
    特選一) 一  薄氷にのりて鴉のおよび腰      まもる
          一  囀や耳にとどいた暖色系       上馬の

             薄氷や喜寿にして病を得たり     広
             朝ぼらけ池に輝く薄氷        兆弥
             薄氷に乗って街並み破壊せり     恵那
             三間の坂にも名前梅開く       雪子
             草餅とペペロンチーノ並びをり    恵那
             春節や鮨に列なす異邦人       まもる
             紅梅やおぼこのやうに開きけり    利水
             薄氷や小川の水の滲みゐる      みづほ
             早春や裾のサテンが消えた街     牧羊

さくら句会【第百四十七回】

                     平成三十一一月二十八
                     於:桜新町区民集会所第一会議室

一月の句会は、八名の参加者、四名の投句により兼題の『福寿草』と自由句二句を持ち寄り行われました。

 披講 下田晃子(俳号・晃子)

          四  木鋏の音はじけたる寒の入り     利水

    (特選二) 三  寒茜遠く影絵のごとき富士      晃子
          三  嫁かぬ娘の集ふ座敷や初笑      雪子
    (特選二) 三  三代の屋号を閉じて春寒し      上馬の
          三  一月や朱塗りの下駄でバスにのる   上馬の

          二  誰が踏みし跡やひとすじ雪の原    雪子
          二  群れ水仙風のかたちに波なせり    勝
          二  今朝の句の一句を添へし初日記    晃子
          二  道問ふて道連れとなり福寿草     勝
          二  しぐるるや砂場に光る耳飾      広

          一  庭石の窪みに張りし初氷       まもる
          一  分け出づる勁き命よ福寿草      広
          一  瑞垣にトイプードルと福寿草     たか二
    (特選一) 一  寒卵届きて朝のかけごはん      兆弥
          一  活気めく街の遠きに山眠る      みづほ
          一  福寿草門なき家に住み古りて     広
          一  日脚伸ぶ小三治枕噺長々と      たか二
          一  隣り合ふ児に笑みもらふ初電車    まもる
          一  百年を生きる覚悟や福寿草      雪子 
    (特選一) 一  全集を買はぬ古書店寒波くる     たか二
          一  万両や鉢に値札の八百円       兆弥
    (特選一) 一  冬雉子のひと声貫けり草茫々     勝
    (特選一) 一  つつましくされど明かるし福寿草   まもる
          一  梅の花ぽつりぽつりと日を刻む    利水

             陽を受けて蕾を開く福寿草      兆弥
             道行や舞台の袖の福寿草       利水
             初春や爺ばかりのクラス会      恵那
             福寿草横丁に遊ぶ五六人       上馬の
             懐に知足忍ばせ初仕事        牧羊
             如月の行間埋める申告書       恵那
             平成の街並み靄る福寿草       恵那
             着膨れやしりとり聞こゆドアあたり  牧羊
             福寿草主役にしたき黄の力      みづほ
             七草粥早ばやと時過ぎゆきぬ     みづほ
             晩学や独り楽しむ福寿草       牧羊
             小箪笥の上に置かれし福寿草     晃子

平成30年の活動


さくら句会【第百四十六回】
                     平成三十十二月十七
                     於:桜新町区民集会所第二会議室

十二月の句会は、八名の参加者、二名の投句により兼題の『山眠る』と自由句二句を持ち寄り行われました。

 披講 富塚兆弥(俳号・兆弥)

    (特選三) 五  満天の星掬ふかに枯けやき      まもる

    (特選一) 四  肩を見せ出を待つ畑の大根かな    みづほ

    (特選二) 三  大いなる繭の姿に山眠る       雪子
          三  ポインセチア赤を極めて売られけり  雪子
    (特選二) 三  登り窯炎を吐いて山眠る       まもる

          二  軽トラに野菜売る市山眠る      広
          二  湖に姿映して山眠る         兆弥
          二  金箔の天守きらりと冬入日      利水
          二  病院の窓に聖樹の光あり       兆弥
          二  平成を惜しみて咲くや冬桜      利水
          二  人去りし夜の運河やおでん酒     広

          一  眠る山辿りて単線奥まりぬ      勝
          一  山眠る阿修羅の像と別れきて     みづほ
          一  葉ぼたんの三本抱へ訪ねけり     勝
          一  綿入を出して戌年終わりけり     恵那
          一  里を出て親が焼かれる山眠る     上馬の
          一  老眼鏡に息吹きかけて十二月     恵那
          一  腹にしむ熱きひつつみ山眠る     広 
          一  脳天に透明に抜け冬匂ふ       勝
          一  報恩講沙汰来るゆえ門徒なり     牧羊
          一  もたいなや空き家にひかるななかまど 上馬の

             裏道の血痕見付け小鳥来る      上馬の
             吹き荒ぶ寝息と共に山眠る      利水
             野良の三毛姿を見せぬ年の暮     兆弥
             湯煙や日向に消える銀世界      牧羊
             鎮守から眠る山へと田んぼ道     牧羊
             右に見る唐松林冬の旅        みづほ
             故郷のなき都会人山眠る       恵那
             吹き溜る桜落葉のかをりけり     まもる
             母に似た爪を切りけり日短      雪子

さくら句会【第百四十五回】
                      平成三十十一月二十六
                      於:桜新町区民集会所

十一月の句会は、十名の参加者、二名の投句により兼題の『時雨』と自由句二句を持ち寄り行われました。

 披講 江原利次(俳号・利水)

    (特選二) 六  まっすぐな野良の煙や冬日和     兆弥

    (特選二) 五  冬日影庭師の鋏ひびきけり      雪子

    (特選一) 四  少年の背にバイオリン冬に入る    雪子

    (特選一) 三  小春日や九九がこだます通学路    牧羊
          三  初時雨提げし鞄を被きたる      広
    (特選二) 三  しぐるるや葉先の小虫ぽとり落つ   利水

          二  しぐるるやただ飄々と生きている   恵那
          二  下京に夫婦箸買ふ時雨かな      広
          二  姥捨ての伝へを聞けり初時雨     雪子

          一  古酒新酒会津八一の歌を知る     上馬の
    (特選一) 一  子規庵の屋根に音する時雨かな    兆弥
          一  傘二つ時雨の四条河原かな      たか二
          一  砂時計待つ間の釣瓶落しかな     まもる
          一  時雨るるや明り取りより灯の洩れて  みづほ
          一  縁側に妻とふたりの日向ぼこ     たか二
          一  酒交わす友の目減りや去年今年    恵那
          一  宿庭の洞ある大樹返り花       みづほ
    (特選一) 一  石蕗の花は蹴るまい下山道      牧羊
             やつ
          一  谷の夕時雨に遠き由比ヶ浜      勝
          一  糟糠の妻小走りの夕時雨       上馬の
          一  七五三父は皺なす仕事着で      たか二 
          一  枯芒ボーッと生きていたいだけ    恵那
          一  鹿鳴くを枕べに聞く奥嵯峨野     みづほ
          一  軒下の時雨の匂い人恋し       牧羊
          一  吹き溜る桜落葉の香けり       まもる
          一  愛犬も揃いのマフラー冬に入る    利水
          一  木枯や背に盾とせりランドセル    勝
          一  神宮の人影まばら神無月       晃子
          一  都大路走者の頬に時雨かな      広

             拾ひたる団栗入れてお手玉に     晃子
             柚子の実や熱海の坂の湯浴とき    勝
             時雨傘子等につられて開きけり    利水
             しぐるるや君に傘さす人は誰     上馬の
             ゆったりと湯船にひたる小夜しぐれ  まもる
             夕暮の地蔵の肩に初しぐれ      晃子
             ふるさとの土のかをりの大根かな   兆弥

 



さくら句会[第百四十四回] 
                      平成三十十月二十二
                      於:桜新町区民集会所

十月の句会は、九名の参加者、一名の投句により兼題の『紅葉』と自由句二句を持ち寄り行われました。
津島晃一さんの俳号は牧洋でなく牧羊でした。訂正します。

 披講 荒居隆二(俳号・たか二)

          四  十月の浜に拾へり色ガラス      雪子
    (特選一) 四  靴音の乾く木道草紅葉        牧羊

    (特選一) 三  白壁のカフェを被ひし蔦紅葉     晃子
    特選二) 三  秋の暮子を呼ぶ声の尖りたり     牧羊
          三  斑鳩や風の抜け道こぼれ萩      みづほ
    (特選一) 三  ゴンドラや紅葉の中へ点となり    利水

          二  はぜうるし薄紅葉して九品仏     まもる
    (特選一) 二  花入れの秋明菊や名残りの茶     兆弥
          二  とび出して鞄ひとつの沙魚日和    上馬の
          二  雨上がる金木犀の香の満ちて     晃子
          二  ハーブティ熱めに淹れて寒露けふ   まもる
    (特選一) 二  照紅葉入れて婚礼写真かな      雪子 
          二  速足で六合目まで初紅葉       恵那
          二  長き夜の灯はひとつ壁に影      上馬の

          一  赤々と三千院の庭紅葉        兆弥
          一  秋深し大僧正の読経聴く       たか二
          一  明日香路や陸稲刈する若き僧     たか二
                やひこ かくだ
          一  稲穂波弥彦山角田山のふもとまで   雪子
          一  色づきし姥捨山の紅葉かな      利水
    (特選一) 一  紅葉焚く道は甲斐より信濃へと    たか二
          一  松が枝を射貫く弦月山の闇      牧羊 
    (特選一) 一  うす墨に茜色さす秋の空       晃子
          一  照る紅葉廃屋の壁いと白し      利水

             親子去りベンチに残る散り紅葉    みづほ
             紅葉かつ散りて日暮里教会堂     上馬の
             会報誌転居先不明秋の雲       恵那
             兎追いしかの山遠く月哀し      恵那
             小鳥来て木の実啄む朝かな      兆弥
             手を合はす紅葉明かりの阿弥陀堂   まもる
             小鳥来る后後の散歩を楽しめり    みづほ

さくら句会[第百四十三回] 

                      平成三十九月二十四
                      於:桜新町区民集会所
九月の句会は、十一名の参加者、一名の投句により兼題の『流星』と自由句二句を持ち寄り行われました。
今回より津島晃一(俳号・牧洋)さんが参加されました。

 披講 矢後勝洋(俳号・広)

 

    (特選二) 五  箒もてそつと掃き出すちちろ虫    まもる

    (特選二) 四  月出でり六曲一双の松木立      勝
    (特選二) 四  流星群富士の稜線削るかに      雪子

          三  流星や断罪されし帷幄の将      広
          三  八十路入り願ふに速き流れ星     利水
          三  密雲を衝いて花野へ駆け降りる    牧洋
          三  屋上は都会の孤島星流る       まもる
    (特選一) 三  新涼やふと見つけたるトリスバー   たか二
          三  スケボーがくるり切り取る秋の空   雪子
          三  観音の里さわがせて芋水車      雪子

          二  三歩にありて一歩に止みぬ虫の声   勝
             ひとごと
          二  他人事やなんだかんだで温め酒    恵那
          二  晩節へ音する骨や流れ星       恵那
    (特選一) 二  流れ星蒲柳の質の祖母ありき     牧洋

          一  色町の祭の中の酒三斗        上馬の
          一  いい人の魂はこぶ流れ星       上馬の
          一  コスモスの地を這ふごとく風に揺れ  晃子
          一  秋天やパンパス・グラス輝けり    みづほ
          一  衣被四つずつよと妻置きぬ      たか二
    (特選一) 一  足元に猫横たはる秋の夜       兆弥 
          一  玉砕のはなしに沈む秋彼岸      上馬の
          一  虫の音を聞きつ無事なる日を綴る   みづほ
    (特選一) 一  流れ星富士より伊豆の海辺まで    たか二
          一  山あいの小さき茶寮や新走り     恵那
          一  流れ星願ひをかけて他言せず     みづほ
    (特選一) 一  無音の闇広ごる草原流れ星      広

             流れ星確かにネオンかすめけり    勝
             夜の駅梨売る娘等の声高し      晃子
             大空を六尺照らし星流る       利水
             曼珠沙華川の畔のシツダルタ     牧洋
             しみじみとちちはは想ふ秋彼岸    まもる
             どんぴしゃに精霊迎ふ彼岸花     利水
             願ふこと健康一つ流れ星       晃子
             露天湯に見下ろす湖や雁の声     広
             鈴虫の音にはれて近付けり      兆弥
             ひと筋の光遺して流れ星       兆弥

さくら句会[第百四十二回] 
                      平成三十八月二十七
                      於:桜新町区民集会所
七月の句会は、七名の参加者、三名の投句により、兼題の『八月尽』と自由句を持ち寄り行われました。                                           披講 家入雪子

          五  もう会へぬと去りし友の背白木槿   たか二

    (特選一) 三  朝顔の二輪咲き初む空の色      晃子
    (特選一) 三  八月尽戦後がじわり揮発する     恵那
    (特選一) 三  馴れし靴履きて遠出や秋に入る    みづほ
    (特選一) 三  触れゆける立秋の風二の腕に     みづほ

          二  ろうそくの消えて百物語終へ     たか二
          二  こほろぎの息を短く鳴き初むる    まもる
    (特選一) 二  ラジカセが語り部となり原爆忌    恵那
          二  宿題のノート重ねて八月尽      兆弥

          一  ツクツクの追い立てる夕八月尽    勝
          一  金足のその名知らしめ八月尽     まもる
          一  ちらほらと男の日傘銀座かな     雪子
          一  手濯ぎや馴染みし浴衣藍の褪せ    勝
          一  死者の手の海に揺らめく盆の頃    広
          一  縁談の行方気になる夏薊       上馬の
    (特選一) 一  遅撒きの朝顔けさの双葉かな     勝 
          一  色あせし母の形見の秋扇       晃子
          一  忠魂碑の長き沈黙八月尽       雪子
    (特選一) 一  かなかなや命惜しみて真夜も啼く   まもる

             新しきリーダー出でよ沖縄忌     恵那
             風鈴や江戸がだんだん野暮になる   上馬の
             苦も楽も憂ひもありぬ八月尽     たか二
             熱き砂バレーの少女汗飛ばす     広 
             湘南の松風の中蝉時雨        兆弥
             温度計うなぎ登りの八月尽      晃子
             いつかしらこの悲しみの八月尽    上馬の
             校庭の海原めきて八月尽       みづほ
             三伏や住む人のなき家の冷え     雪子
             兄逝きてはや一年の墓参かな     兆弥
             狂ほしき熱波と雨と八月尽      広

さくら句会[第百四十二回] 
                      平成三十七月二十三
                      於:桜新町区民集会所
七月の句会は、九名の参加者、二名の投句により、兼題の『炎昼』と自由句を持ち寄り行われました。                                            披講 北岡みづほ

          五  橋ひとつ流れゆくなり夏出水     雪子

    (特選一) 四  昼顔や千歩に足りぬ万歩計      勝
    (特選二) 四  決断のまたも変わりし溽暑かな    たか二
          四  乳母車双子揃ひの夏帽子       兆弥

    (特選二) 三  異国語の飛び交ふ街や蝉時雨     兆弥
    (特選一) 三  降り初めし雨のにほひも網戸越し   雪子
          三  炎昼や並ぶ喪服の送りびと      広
          三  夏の陽の乱反射する丸の内      たか二
          二  炎昼へふんどし締めて挑みをり    利水
    (特選一) 二  網棚の二つ並びし夏帽子       晃子
    (特選一) 二  炎昼や川の中州の死者の声      上馬の

          一  かき氷脳天昇天銀河系        恵那
          一  けもの道夏野の中へ消え失せぬ    利水
          一  かなかなや第九を歌ふ下稽古     広
    (特選一) 一  炎昼の田に手鼻擤む媼かな      たか二
          一  百日紅いつもどこかが揺れてをり   まもる
          一  炎昼や街路樹の影バス待てり     晃子
          一  沢音や湯湧の宿の岩魚酒       晃子
          一  炎昼やひとり無口で歩を運ぶ     兆弥
          一  電柱の陰にバス待つ夏真昼      まもる
          一  炎昼や影なき渋谷交差点       勝

             信号を待つ炎昼の小蔭かな      雪子
             炎帝に負けぬ嬌声ウォーターシュート みづほ
             炎昼や渋谷駅前の喫茶店       恵那
             カンナ咲く水煙空に雲を置き     みづほ
             朝床の隣に問へばひやさうめん    上馬の
             炎昼や自販機の水ラッパ飲み     まもる
             もてあます夏の日ありき青いとき   勝
             子らのベロ信号機なりかき氷     恵那
             サマードレス肩のほくろのとび出す  みづほ
             炎昼や結び直せし靴の紐       広
             夏昼間シャツター通りを口開けて   上馬の
             テレビ付く檻から眺む猛暑かな    利水

 


さくら句会[第百四十回] 
                      平成三十六月二十五
                      於:桜新町区民集会所
五月の句会は、九名の参加者、二名の投句により、兼題の『黴』と自由句を持ち寄り行われました。                                          披講 榎並 恵那

    (特選三) 六  退職の夫の鞄のはや黴ぬ      雪子

    (特選一) 五  鬢付けと黴のにほいの村芝居    利水

    (特選二) 四  花ざくろ雨の舗道に朱をこぼす   まもる
          四  夕立や子らひしめける閻魔堂    雪子
    (特選一) 四  黴の香や少年メロス走りきる    勝
    (特選一) 三  傾きし殻そのままに蝸牛      兆弥

          二  青田風庫裏へと抜ける尼が寺    雪子
          二  カウベルの音色聞きつつ行く夏野  晃子

          一  額紫陽花はじけていたり雨の中   みずほ
          一  耄碌と言はれし宵や五月雨るる   たか二
          一  学園にはびこる黴や錬金術     恵那
          一  梅雨晴れや時告ぐ鐘の音高し    利水
          一  水滴のひとすじを引きサクランボ  みずほ
          一  夕顔や頭痛のをんな眉皺め     広
          一  看護師のひとり水色更衣      たか二
          一  タックルの波紋の果てに戻り梅雨  恵那
     (特選一) 一  黒南風や旅のカバンに小傘入れ   晃子
          一  柔き風戸口過ぎけりどぜう汁    勝
          一  見学の地下に黴の香してきたり   みずほ
          一  青かびのチーズ肴に飲むワイン   まもる
          一  長雨の消えて久しき青嵐      上馬の
          一  黴残し孫独立し家を出る      たか二
          一  書庫の戸を開ければほのか黴匂ふ  晃子

             黴くさき図書舘の書架資本論    広
               屋根裏の人おどろかす夏至の雨   上馬の
               雨の日々昼顔小出しに咲いてをり  勝
             座布団のカバーも替えて更衣    まもる
             再婚の神前結婚黴煙        上馬の
             ハスキーな野良の鳴き声木下闇   兆弥
             人と黴美女も悪女もおはします   利水
               新子うまし握る親父の小兵なる   広
             海凪ぐや役に立つ黴たたぬ黴    恵那
             大笑ひ豆腐に黴の落語かな     兆弥

 
さくら句会[第百三十九回] 
                      平成三十五月二十八
                      於:桜新町区民集会所
五月の句会は、十名の参加者、一名の投句により、兼題の『青梅』と自由句を持ち寄り行われました。
                   披講 暮田 忠雄

          五  うしろ手に髪編む乙女夏来る    まもる
          五  抽出しの奥に波音桜貝       みづほ

          四  大藤の風を遊ばす日暮かな     雪子
          四  青梅や青年罪を語りたる      雪子

                 
          三  乾く音退いてはかへす麦の秋    みづほ
          三  白波の寄せるが如く山法師     兆弥
          三  太郎あれば次郎のほしき鯉幟    広

          二  青梅や破れし恋をなつかしむ    まもる
                    もんじ
          二  五月雨や句碑の文字の見え隠れ   晃子
          二  短夜やさなくも夢の減りしこと   勝
          二  しずかなる絵のやふに梅実りをり  みづほ
          二  青梅の一粒落ちぬ雨予報      勝
          二  落梅のかそけき音や夜の庭     広
          二  青梅や疎開の寺の納所裏      たか二

          一  風の道水面に見へて菖蒲池     勝
          一  夢の跡覆ひ隠して草茂る      利水
          一  のぼりつめ宙を掻きをり天道虫   まもる
          一  竹籠に並ぶ青梅うすみどり     兆弥
          一  風が通り過ぐ実梅に塩の染む    恵那
          一  青嵐富士の頂なほ白く       たか二
          一  キッチンの実梅香りし夜更かな   晃子
          一  夏めくやあしたの風は南南東    恵
          一  角ごとに鳳凰傾ぐ子ども山車    雪子

             閑かさや噴水光る夜のしじま    上馬の
             青梅よ琥珀の水となりたまえ    恵那
             釣堀や鳳凰三山ひとりじめ     たか二

             木の下の闇に光を神の声      上馬の

             過疎の村改札出れば麦の秋     晃子

             青梅のいよいよ青く枝たわわ    利水

             相合傘信号待てる青葉かな     広

             窓越しの花あれこれと夏に入る   利水
             青梅や無痛中絶合法化       上馬の
             海棠を植ゑて俄の雨の降る     兆弥

 
さくら句会[第百三十八回]
                      平成三十四月二十
                      於:桜新町区民集会所  

 四月の句会は、十名の参加者、一名の投句により、兼題の『蝶』と自由句を持ち寄り行われました。
                          披講 田中 勝

          六  春灯や皿の絵うかぶ薄造り     雪子
          五  生れし蝶風の誘ひを待ちて翔つ   まもる

          四  ぼうたんを支える茎の細さかな   兆弥

          三  飛ぶ影をもたぬてふてふ見失ふ   みづほ
          三  翡翠の一矢待たるるしじまかな   利水
          三  軍港を横切る胡蝶ありにけり    上馬の
          三  煌めける烏賊釣の灯や沖の春    勝
          三  稜線の碧に溶け込む蝶高し     勝

          二  山桜棚田の土の黒さかな      晃子
          二  天守閣修復なれり樟若葉      雪子
          二  球場の蝶舞ふところ応援歌     上馬の
          二  蝶飛ぶや遮断機の下くぐり抜け   晃子
          二  すれちがふ人のほほ笑む花の下   まもる
          二  竹藪の葉擦れ背に聞く青嵐     みづほ

          一  初蝶の羽やすめをり石の上     雪子
          一  舞ふ翅のゆるくせはしく蝶の恋   利水
          一  思惑に翻弄されて残る花      恵那
          一  空のあお山のみどりに胡蝶かな   恵那
          一  注がれて目を伏せたまふ甘茶仏   まもる
          一  このころの牧青ければ仔馬生る   上馬の
          一  火の山の怪しき鼓動雪解川     広
          一  新緑やペンキ塗り立てすべり台   利水

             行く春や銀座の路地にシャンソンの たか二
             初蝶や楽しみつづる雑記帖     広
             蝶の舞ふ屋上花壇丸の内      たか二
             山さくら森閑と散り夕間近     勝
             葉桜を眺め川辺のコーヒー店    みづほ
             眠られぬ夜空に白き花みずき    たか二
             葉桜や子規の住みたる長命寺    兆弥
             おみくじや結ぶ小枝の風光る    晃子
             長堤に人影まばら桜蕊降る     恵那  
             教会へ近道登る躑躅かな      広
             春の蝶韃靼海峡渡り来る      兆弥